「今日もお星さまがきれい~!」
「そうだね」
ボクが草むらに寝転がって星空を見上げると、隣に座るネアが、かすかに笑った気配がした。
「お日さまキラキラも好きだけど、夜のお星さまのキラキラも好きー!」
見上げていると、なんだかボク自身も吸い込まれてしまいそう。毎日見てるはずなんだけど、今日はトクベツにきれいな気がする。なんでだろう? あ、そっか。ボクは昼間のことを思い出して納得した。
「なんだか今日は嬉しそうだね」
そういうネアの声もとても嬉しそうだった。
「だってネアがボクの帽子を見つけてくれたから! ボク、もうほんとに見つからないかと思って……すごく悲しかったんだ」
思い出しただけでも、その時の悲しさがよみがえってきて、自然とまゆげが下がりそうになる。
「帽子、見つかってよかったね」
思わず暗い気持ちを思い出しそうになったボクの耳に、ネアの優しい声が差し込まれる。それだけでボクの心に浮かんだ黒いもやは、一瞬で吹き飛ばされてしまう。
「うんっ! ネア! ありがとう! 大好き!!」
ボクが勢いよく起き上がって言うと、ネアは目をまんまるにしたあと、
「ど……どういたしまして……」
と、消え入りそうな声でつぶやいて、ふいっと視線をそらしてしまった。
「ボクね、ずっとずーっと、ネアと一緒にいられたらいいなあ~って、あらためて思っちゃった!」
えへへ、さすがにちょっと照れくさいかも。でも思ったことは思った時に言わないと! ボクはきっと生まれた時からずっとネアと一緒だけど、でもそれが、この後もずっと続くかどうかは誰にもわからないでしょ? だから……今この瞬間を大事にしたいんだ。今日見上げたお星さま達だって、明日も全く変わらないとは限らないもの。
「マル」
気づけばネアが、真剣な顔でこっちを見ていた。そういえばネアの声って、ここの夜の空気みたい。静かだけど、そっと寄り添って包み込んでくれるような、すごく優しい声。
「ぼくも、ずっとマルのそばにいたい」
「ほんと!? じゃあボクたちずっと一緒だね!」
「うん」
うなずいて、ふわりと笑うネアは、今まで見たことないくらいキラキラ輝いて見えた。お星さまにも全然負けてないくらい。ボクは胸がぽかぽかとあたたかくなって、思わず笑顔になるのを止められなかった。明日もその先もずっとこんな日が続いたらいいなあ。そう思いながら、草の匂いの混じった夜の空気を目いっぱい吸い込んで、ボクは目を閉じた。まぶたの裏に残るお星さまのかがやきと一緒に眠ったら、今夜は素敵な夢が見られそうな気がした。